「しかし、ユニットとはなんだ?」
暗闇の中から聞こえる声。
男の人の声。・・・なんできこえるの?
「さぁ・・・知らなくていいのさ。我々は。」
また、聞こえる。さっきとは、違う声。
あぁ・・・そうか。私、寝ていたのね。
少女の視界がはっきりしてくる。
見渡してみると、人影が2つあった。
「いつもの事だろ。」
「・・・」

(なんだか、ここから離れた方がいいみたい)
少女が動こうとした途端、機械音がした。
少女の体が固まる。

「ピピピ・・・」
男の一人が対応する。
「どうした?」
暫くの間、静かだった。
「わかった。」
「おい、引き上げるぞ。」
「見つかったのか?」
「いや、他の所を探すそうだ。」

黒い服を着た男たちは、ここから居なくなる。
自分は動く必要ない。
そう思った。少女は。
だからだろう、体の重心を少し後ろにした時、音がした。
「バキッ・・・」
ここから居なくなるはずだった男たちは、立ち止まった。
お互い顔を見て、動き出した。音のした方へ。
確実に少女の方に向かって来る。
少女は動かない。
いや、動けないでいた。
動きたいのに動けない。逃げないといけない。
少女の心に警報が鳴る。でも、体がいう事効かない。

「ガザッ・・・」
男たちは、少女を見つけた。
「・・・聞かれたな・・・」
男の一人が声を出した。
「始末するか。」
同じ男が言う。

(始末って何?・・・殺されちゃうの?私・・・)
少女と男たちは互いを見ていた。暫くの間。
「俺が殺るよ。」
静寂を破ったのは、男の方だった。
男が一歩前に出た。
少女の体が、ピクリと動いた。
(私、変な夢見てるんだ・・・でも・・・)
(これが、現実?・・・)
また、一歩男が近づく。

少女は、空を見た。
(・・あぁ・・今日は赤い月だからか・・・)
(赤い月の時は人が血を流すって言ってっけ・・・)

その赤い月は、これからの事を静かに見ていた。