赤い月がそこにはあった。月はただ見ているだけだった。
今から起きる事を・・・

「・・ザザ・・探・せ・・此処・・ら辺に・・いる・・はずだ」
暗闇に聞こえる機械的な声。そして、人の気配。
「ふー、此処には居ないみたいだな。」
不意に、人間の声がする。
「そうだな。Bグループの方か?」
2人の人間がそこにはいた。
まったく、同じ格好をして。
頭には白いヘルメットをしている。目の所はゴーグルがあって、顔が見えない。
そして、体にぴったりの黒の服を着ている。
そう、すべて同じなのだ。ただ、身体付きが違うだけだった。
「しかし、あのヤローのせいで面倒な事になったな。」
「ああ・・・よくあそこから盗み出せたものだ。」
二人の人間は、気づかなかった。そこに、もう一人の人間がいる事に・・・


機械的な声がするかなり前に、少女はそこにいた。
「もうー、お母さんなんて知らない!」
少女は、制服を着ていた。歳は16・7位だろう。
まだ幼さが残っていた。
木の根本に座り込んでいる。傍らに大きなバックがある。
「本当に、帰らないんだから!私の事なんか・・・」
少女は、瞳から涙を流している。
しばらく、静寂が続いた。
「でも・・・これからどうしよう・・・」
静寂が小さな声で破られた。少女は、膝を抱えて小さくなった。
「本当に・・・どうしよう・・・どう・・しよう・・・」
また、辺りは静かになった。少女は眠りの中に入ってしまったから・・・