可愛い?

「おーい、土浦君!」
振り返って見れば、天羽と日野がこちらに向かって走ってくる。
「ふぅ、結構、土浦君って歩くの早いよね」
「うん、私もそう思う。ねっ、香穂?」
「うん、うん」
二人で勝手に納得してる。
人を呼び止めておいて、一向に話さないので痺れを切らして、こちらから話を振る。
「あのさぁ、俺になんか用事があったんじゃないのか?」
「あっ、そうだ。はい!これ、あげる」
天羽がなにか差し出した。
「・・・?なんだ、これ?」
紙?いやこれは・・・
「昨日ね、三人で撮ったの。可愛いでしょう?笙子ちゃん♪」
ウキウキして話す日野と含み笑いしている天羽がいる。
「ふふふ、やはり土浦君も男だね〜♪」
俺は天羽に渡された物を見て、固まっていた。
そこには・・・少し恥じらっている笙子が写っていた。
それはまだいい。その格好が・・・
いわゆるメイド服を着ている。
「これは?」
「ん?プリクラだよ」
「プリクラ?」
「そう、プリクラ。知らないの?土浦君」
「いや、それくらい知っているが・・・なんでこんな服を・・・」
「えーとね、最近のプリクラはね、コスプレできるんだよ〜ねっ、菜美」
いままで横で聞いていた天羽に同意を求める。
「やっぱりね。まっ、知らなくても仕方ないか。そうなんだよ、最近は色々な格好して撮れるんだよ」
「メイドさんでしょう、ナースさんとかチャイナとかも色々あるんだよ」
指を折りながら考えてる日野を横に、天羽が俺にトドメの一言を言った。
「他のプリクラも見たい?土浦君?」
頭がクラクラする。絶対にこいつ、俺をからかってる。しかし、見てみたいと思うのは仕方ないだろう。
一応、睨んでみた。
「睨んでもダメだよ〜 怖くないもんね、そんなんじゃ」
「笙子ちゃんね、可愛いから色々と着せたくなっちゃうだよね」
「まっ、面白いもん見れたから他のも渡しとくよ。こころして見る様にね♪」
ポンと俺の手に何枚かのプリクラを乗せて
「一つ、貸しにしてくね」
と付けてして行く。
「さて、行きますか?香穂。月森君にも見せるんでしょう?」
「えっ?いや、私のは・・・」
「さっ、行こう!じゃぁね、土浦君」
ズルズルと引きづられて日野は天羽に連行されていった。
「あいつ、絶対 俺たちで遊んでやがる」
きっと月森も同じ運命だろうな。少し気の毒な気もするが・・・
俺は、手にした物を見ようとして時、
「あっ、梁先輩♪ここにいたんですね」
「うわー!!」
「きゃっ?」
そこには、目を丸くした笙子がいた。
なんとも、間の悪いことにプリクラを隠す暇もなく手にした状態で・・・
笙子の視線が俺の手に集中している。
「あ・・・の・・・先輩、それ・・・昨日の・・・」
「ああ・・・さっき天羽と日野が・・・」
「//////」
ボンと音がする位に笙子の顔が一瞬にして赤くなった。
こう言う所が可愛いと思ってしまうのは、もう末期状態だなとか思ってしまう。
「えっと、その・・・それは・・・先輩達が・・・その・・・あの・・・」
真っ赤な顔で一生懸命、説明しているが説明になっていない。
いつもの癖で、髪を掻き分けながら、
「笙子」
「えっ、はい」
「あのなぁ、こういう格好は・・・」
そっと笙子の耳元で囁く。
「俺の前だけにしろ。いいな」
「///はい・・・」

「しかし、こんな服をよく着たな?」
笙子と学校の帰り道、聞いてみる。
笙子の性格上、こういう服は着ないだろうから。ナースやメイドやらの服は。
「えーと、天羽先輩が・・・その梁先輩は、こういう格好 好きそうだからって・・・」
「・・・」
思わず絶句した。やはり、あいつの仕業か。
「・・・やっぱり、似合わないですよね、私なんかじゃぁ。胸も無いし・・・」
俺が何も言わないのを勘違いしたようで、シュンとした様子だ。
「あのなぁ・・・別に似合って無いんじゃぁなくてだなぁ・・・」
「・・・?」
「あー、一回しか言わないからな。いいな」
「笙子は何を着ても可愛いよ」
「・・・先輩・・・」
自分で言って、照れる。
あー、本当に俺らしくない。俺の柄じゃない。でも、それを言わせる何かがこいつにはあるんだよな。
こいつには。
本当に末期状態だよ、マジで。
でも、こいつを他の誰かには譲る気はさらさら無いけど。



書き逃げ第3弾(オイ)
すみません。先に謝っておくのが言いかと・・・
偽土浦君でした。
ある意味男のロマンですか?これ(笑)
でも、メイド服の笙子ちゃん見てみたいです、個人的に(^^;